創業融資で自己資金はいくら必要?審査で確認されるポイントを税理士が解説

創業融資で自己資金はいくら必要?審査で確認されるポイントを税理士が解説
2026年7月29日
これから会社や個人事業を始める方にとって、開業資金をどのように準備するかは重要な問題です。
店舗 の敷金や内装工事、設備の購入、仕入れ、広告宣伝費など、創業時にはまとまった資金が必要になります。そこで利用を検討したいのが、日本政策金融公庫などの創業融資です。
一方で、「自己資金はいくらあればよいのか」「自己資金が少なくても借りられるのか」「家族から受け取ったお金は自己資金になるのか」と疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、創業融資に必要な自己資金の考え方と、審査で確認されるポイントを税理士が解説します。
創業融資とは
創業融資とは、これから事業を始める方や、創業して間もない事業者を対象とした融資です。
代表的なものとして、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」があります。このほか、信用保証協会を利用した金融機関の融資や、地方自治体が 実施する制度融資などもあります。
日本政策金融公庫の制度は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象です。融資限度額は7,200万円ですが、実際の融資額は、必要な資金、自己資金、事業経験、返済可能性などを踏まえて判断されます。
創業期の方は、原則として無担保・無保証人で利用できる制度も用意されています。
創業融資で自己資金はいくら必要?

現在の日本政策金融公庫の創業融資には、「創業資金総額の10分の1以上」といった一律の自己資金要件は設けられていません。そのため、制度上は自己資金が少ない場合でも申込みは可能です。
ただし、「自己資金要件がない」ことと、「自己資金が審査に影響しない」ことは同じではありません。
自己資金は、創業へ向けて計画的に準備してきたか、借入金へ依存しすぎていないか、開業後の資金繰りに余裕があるかなどを判断する材料になります。
日本政策金融公庫の調査では、創業時の自己資金は総投資額の2割程度が平均とされています。ただし、2割あれば必ず融資を受けられる、2割未満なら受けられないという意味ではありません。
必要な自己資金は、業種、事業規模、開業場所、設備投資、これまでの経験などによって異なります。一般的には、開業資金の2~3割程度を一つの目安として準備し、残りを融資で補う方法が考えられます。
自己資金として認められやすいお金
創業融資における自己資金とは、基本的に創業者本人が返済義務なく事業へ投入できる資金です。
給与などから継続的に貯めた預金
退職金
保有していた株式などを売却した資金
事業のために既に支払った設備代や保証金
返済義務のない親族からの贈与
重要なのは、現在の預金残高だけではありません。どのように資金を貯めたのか、通帳の履歴などから確認できることが大切です。
毎月の給与から少しずつ貯蓄している場合は、創業へ向けて計画的に準備してきたことを説明しやすくなります。すでに事業用の設備や備品を購入している場合は、領収書、請求書、振込記録を保存しておきましょう。
家族から受け取ったお金は自己資金になる?
家族から援助を受ける場合は、お金の性質によって取り扱いが異なります。
返済する必要がない贈与であれば、自己資金として説明できる可能性があります。一方、家族へ返済する予定のお金は、実質的には借入金です。
贈与を受けた場合は、誰から、いつ受け取ったのか、返済義務がないこと、資金の移動を通帳で確認できることを明確にしておきましょう。贈与額によっては贈与税の申告が必要になることもあります。
「見せ金」は避けましょう
融資審査の直前に知人などから一時的にお金を借り、口座残高を多く見せる方法は「見せ金」と呼ばれます。一時的に振り込まれただけのお金は、本当の自己資金とはいえません。
審査では、申込時点の残高だけでなく、一定期間の預金履歴が確認されることがあります。直前に多額の入金があれば、資金の出所について説明を求められる可能性があります。
説明できない入金は、自己資金として認められないだけでなく、申込内容全体の信用性にも影響します。実際の金額を正しく申告しましょう。
創業融資の審査で確認される6つのポイント

1.創業する業種での経験
これまでの勤務経験や保有資格は、事業を継続できるかを判断する重要な材料です。経験が少ない場合は、研修実績、協力者、外部委託先など、経験を補う方法を示します。
2.創業の動機
なぜこの事業を始めるのかを具体的に説明します。これまでの経験、顧客からの需要、開業場所を選んだ理由などを整理しましょう。
3.売上計画の根拠
売上は希望的な数字ではなく、客単価、顧客数、営業日数などから計算します。すでに取引予定の顧客がいる場合は、契約書、発注書、見積書なども計画の裏付けになります。
4.必要資金の根拠
設備資金は、内装工事、機械、車両、備品などの見積書を準備します。運転資金も、家賃、人件費、仕入れ、広告費などを月ごとに計算します。
5.開業後の返済可能性
借入金は開業後の利益から返済します。事業の利益だけでなく、創業者本人や家族の生活費も考慮し、無理なく返済できるか確認します。
6.税金や公共料金などの支払状況
税金、社会保険料、公共料金、ローンなどの支払状況も確認される可能性があります。支払いの遅れがある場合は、申込み前に状況を整理しておきましょう。
自己資金が少ない場合の対策
自己資金が少ないからといって、必ずしも創業を諦める必要はありません。
中古設備、リース、レンタルを検討する
店舗や事業の規模を小さくする
開業時期を遅らせて貯蓄する
不要な内装工事を減らす
自治体の制度融資や補助金を確認する
段階的に事業を拡大する
補助金は支出後に交付されるものが多く、採択されるとも限りません。開業時の支払いに使用できる現金は、別途準備しておく必要があります。
自己資金をすべて設備投資に使ってしまうと、開業後の売上が計画を下回ったときに資金不足となるおそれがあります。当面の運転資金と生活費も残しておきましょう。
法人設立前と設立後のどちらで申し込む?
法人として事業を始める場合、法人設立前から融資の相談を始めることができます。
ただし、具体的な申込みや契約では、法人の登記事項証明書、定款、法人名義の口座などが必要になる場合があります。
会社設立、物件契約、内装工事、許認可申請、融資申込みの順番を誤ると、融資結果が出る前に多額の支払いが発生することがあります。大きな契約をする前に、金融機関や専門家へ相談して全体のスケジュールを決めましょう。
創業計画書は数字のつながりが重要
創業計画書には、創業の動機、経歴、商品・サービス、取引先、必要資金、資金調達方法、収支計画などを記載します。
審査を通すために売上を過大に記載するのではなく、数字のつながりを示すことが重要です。
例えば、月間売上を200万円とする場合は、客単価、顧客数、営業日数から根拠を示します。その売上に必要な仕入れ、人件費、広告費、家賃などを計算し、最後に利益から借入金を返済できるかを確認します。
創業融資を税理士へ相談するメリット
創業融資では、事業の魅力だけでなく、売上、経費、利益、返済額を数字で説明する必要があります。
税理士へ相談することで、必要資金の整理、売上・経費計画の作成、返済可能額の確認、法人と個人事業の比較、創業後の経理体制の整備などを進められます。
融資を受けること自体が目的ではありません。借入後に返済を続けながら事業を安定させることが重要です。税金や社会保険料まで含めた資金計画を作成しておくと、開業後の資金不足を防ぎやすくなります。
まとめ
創業融資では、一律の自己資金要件がなくても、自己資金の金額や形成過程は重要な審査材料になります。
自己資金は計画的に貯める
一時的な見せ金を使わない
まとまった入金は出所を説明できるようにする
設備資金は見積書を用意する
売上計画の計算根拠を明確にする
借入後の返済と生活費まで確認する
融資結果が出る前の大きな契約に注意する
税理士法人Two onesでは、立川市・国立市を中心に、法人 設立、創業計画の作成、資金繰り、創業後の税務・会計についてご相談を承っております。
「自己資金が少なくても申し込めるか知りたい」「いくら借りるべきか分からない」「創業計画書の数字に不安がある」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

