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相続した空き家を売却したときの税金|3,000万円特別控除の要件を解説

相続した空き家を売却したときの税金|3,000万円特別控除の要件を解説

2026年8月6日

相続した実家や空き家を売却すると、売却によって生じた利益に対して所得税・住民税がかかることがあります。特に、親が長年所有していた不動産は購入時の資料が残っておらず、取得費を十分に確認できないことで税負担が大きくなるケースがあります。


一方、一定の要件を満たす空き家を売却した場合には、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。ただし、築年数、相続後の利用状況、売却期限、売却方法など細かな条件があるため、売却契約を結ぶ前の確認が重要です。


相続不動産の売却では「売却代金」ではなく利益に課税されます


不動産を売却したときの譲渡所得は、基本的に次の式で計算します。


譲渡所得 = 売却代金 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除


取得費には、被相続人が不動産を購入したときの代金や購入手数料などが含まれます。相続した不動産では、被相続人の取得費と取得時期を引き継ぎます。取得費が分からない場合は売却代金の5%を概算取得費とすることもできますが、実際の購入資料を確認できる場合と比べて税額が大きくなることがあります。


空き家の3,000万円特別控除とは


相続または遺贈により取得した一定の空き家やその敷地を2027年12月31日までに売却し、要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。譲渡所得が3,000万円以下であれば、特例の適用によって譲渡所得がゼロになる可能性があります。


なお、2024年1月1日以後の譲渡で、その家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いる場合、控除額は1人当たり最高2,000万円となります。


空き家の3,000万円特別控除の主な要件

特例の対象となる家屋の条件


  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること

  • 区分所有建物登記がされた建物ではないこと

  • 相続開始の直前に、原則として被相続人以外の居住者がいなかったこと


そのため、旧耐震基準で建築された一戸建て住宅が主な対象です。分譲マンションなどの区分所有建物は対象になりません。また、親と子が同居していた場合などは、原則としてこの特例を利用できません。


相続後に賃貸や事業で使用すると対象外になることがあります


相続の時から売却、耐震改修または解体までの間に、家屋や敷地を事業、賃貸、居住のために使用していないことが必要です。短期間であっても第三者へ貸したり、相続人が居住したりすると、特例を利用できなくなる可能性があります。


売却する予定がある場合は、安易に賃貸へ出す前に、特例の適用可能性と賃料収入を比較して判断することが重要です。


売却期限は「相続から3年後の年末」まで


売却期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。単純に死亡日から3年以内ではありません。さらに、特例自体の適用期限である2027年12月31日までに売却する必要があります。


相続登記、遺産分割、不動産会社の選定、家財の整理、測量、解体などには時間がかかるため、期限直前から動き始めるのではなく、早めに方針を決めることをおすすめします。


家屋を残して売る場合と、解体して売る場合


空き家特例の対象となり得る売却パターン

家屋を残したまま売却する場合は、原則として譲渡時に一定の耐震基準を満たす必要があります。一方、家屋を全部取り壊して敷地のみを売却する方法も対象になり得ます。


2024年1月1日以後の譲渡では、売却時点で耐震基準を満たしていない家屋であっても、売却した年の翌年2月15日までに買主などが耐震改修または全部の取壊しを行えば、一定の要件のもとで特例の対象となる場合があります。売買契約に工事期限や協力義務を定め、完了を確認できる書類を確保することが重要です。


売却代金は1億円以下であること


特例の対象となる売却代金は1億円以下でなければなりません。共有者が分けて売却した場合や、敷地の一部を別に売却した場合でも、一定期間内の他の相続人による売却分を含めて判定されることがあります。


最初の売却時には1億円以下であっても、その後の追加売却により合計が1億円を超えると、修正申告と納税が必要になる場合があるため注意が必要です。


老人ホームに入居していた場合も対象になる可能性があります


被相続人が亡くなる直前に老人ホーム等へ入所していた場合でも、要介護認定等を受けていたこと、入所前までその家屋に一人で居住していたこと、入所後に家屋を賃貸や他人の居住に使用していないことなどの要件を満たせば、特例の対象になる可能性があります。


住民票だけで判断するのではなく、介護保険の被保険者証、施設の入所契約書、電気・ガスの使用状況、家財の保管状況などを確認します。


特例を受けるには確定申告が必要です


売却による税額が特例の適用によってゼロになる場合でも、自動的に控除されるわけではありません。売却した年の翌年に確定申告を行い、必要書類を提出します。


  • 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)

  • 売買契約書の写しなど、売却代金が分かる書類

  • 登記事項証明書等、相続取得・建築時期などが分かる書類

  • 不動産所在地の市区町村が交付する被相続人居住用家屋等確認書

  • 耐震基準適合証明書、解体を証明する登記事項証明書等(売却方法に応じて)


市区町村の確認書は、申請してすぐに交付されるとは限りませんので注意が必要です。売却前から必要資料を保管し、余裕をもって申請しましょう。


取得費加算の特例との併用には注意


相続税を納めた人が相続財産を一定期間内に売却した場合、相続税額の一部を取得費へ加算できる「取得費加算の特例」があります。ただし、空き家の3,000万円特別控除を適用する部分について、取得費加算の特例を重ねて適用することはできません。


どちらが有利になるかは、譲渡益、取得費、納付した相続税額、共有状況などによって異なります。売却後では選択肢を変更できないこともあるため、申告前に比較計算が必要です。


よくある注意点


  • 相続後に一度賃貸へ出してしまった

  • 売却期限を死亡日から単純に3年以内だと思っていた

  • 買主が期限までに解体する約束を確認できなかった

  • 共有者による別の売却を含めると代金が1億円を超えた

  • 市区町村の確認書に必要な電気・ガスなどの資料を処分した


まとめ|空き家を売却する前に税務上の要件を確認しましょう


相続した空き家の3,000万円特別控除は、譲渡所得を大きく減らせる可能性がある一方、家屋の建築時期、相続後の利用状況、売却期限、耐震・解体、売却代金など多くの要件があります。不動産会社との売却契約だけでなく、税務上の要件を事前に確認することが大切です。


税理士法人Two onesでは、相続税申告から相続不動産の売却に伴う譲渡所得の申告までご相談を承っております。立川市・国立市を中心に対応しておりますので、相続した実家や空き家の売却をご検討の方は、売却前の段階からお気軽にご相談ください。


参考資料



※本記事は2026年8月時点の一般的な制度をもとに作成しています。個別の事実関係により適用可否や必要書類が異なります。


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