同人作家にも税務調査は来る?確認されやすい売上・経費を税理士が解説

同人作家にも税務調査は来る?確認されやすい売上・経費を税理士が解説
2026年7月30日
同人誌やグッズの販売、イラスト・漫画制作、電子作品のダウンロード販売などによって収入を得ている場合、会社員の副業であっても税務調査の対象になる可能性があります。この記事では、同人作家やクリエイターが確認されやすいポイントと、日頃から準備しておきたい資料を解説します。
税務調査とは?どのくらい追徴課税されている?
税務調査とは、提出された確定申告書の内容が正しいかどうかを、税務署が帳簿や領収書、売上明細、銀行口座などから確認する手続きです。税務署の職員が事務所や自宅を訪問する「実地調査」のほか、電話や文書で申告内容の確認を求める「簡易な接触」もあります。
税務調査は無作為に行われるものではありません。税務署は申告書の内容、取引先から提出された資料、過去の申告状況などを分析し、申告漏れの可能性が高いと考えられる事案を優先して確認しています。近年は調査対象の選定にAIも活用されています。
国税庁が公表した令和6事務年度の全国集計では、所得税について実地調査と簡易な接触を合わせて約73万6,000件の調査等が行われました。そのうち申告漏れなどが確認された件数は約36万9,000件で、申告漏れ所得金額は合計9,317億円、追徴税額は合計1,431億円となっています。
ただし、この数字には不動産所得、事業所得、譲渡所得など、さまざまな所得が含まれており、すべてが同人作家やクリエイターに関するものではありません。
同人作家が税務調査で確認されやすいポイント
最初に確認されやすいのが、販売サイトごとの売上がすべて計上されているかです。BOOTH、DLsite、Skeb、pixivFANBOX、Fantia、出版社からの報酬、イベント会場の現金売上、海外サイトからの入金など、収入の入口が複数ある場合は特に注意が必要です。
販売サイトからの入金額だけを売上にすると、手数料や源泉所得税が差し引かれた後の金額になっていることがあります。原則として、源泉徴収や手数料控除前の売上総額を確認し、販売手数料などを経費として分けて処理します。
イベント会場で受け取った現金や個人口座への入金も、創作活動によるものであれば売上です。現金売上の記録がない場合、印刷部数、搬入数、販売数、在庫数などから確認される可能性があります。

経費として確認されやすい支出
印刷代、イベント参加費、搬入・送料、画材、制作ソフト、ペンタブレット、資料用書籍、販売サイトの手数料などは、創作活動との関係を説明できれば必要経費になる可能性があります。ただし、領収書があるだけで自動的に経費になるわけではありません。
パソコン、スマートフォン、インターネット料金、家賃、電気代などを私生活でも使用している場合は、事業で使用した部分を合理的に区分する家事按分が必要です。また、高額なパソコンや液晶タブレットなどは、購入年に全額を経費にできず、減価償却が必要になる場合があります。
同人誌やグッズの在庫にも注意
年末時点 で売れ残っている同人誌やグッズは、棚卸資産として計上が必要になることがあります。たとえば100冊印刷して年内に60冊を販売し、40冊が残っている場合、残った40冊分の原価は翌年以降へ繰り越すのが基本です。
印刷会社の請求書、印刷部数、イベントへの搬入数、通販サイトの販売数、年末在庫数を記録しておきましょう。在庫を廃棄した場合は、日付、数量、理由、写真などを残しておくと説明しやすくなります。
「副業所得20万円以下なら何もしなくてよい」とは限らない
会社員は、給与以外の所得が年間20万円以下であれば、一定の場合に所得税の確定申告が不要となることがあります。ただし、基準になるのは原則として売上ではなく、売上から必要経費を差し引いた所得です。
所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要になる場合があります。また、医療費控除などのために確定申告をする場合には、20万円以下の副業所得も含めて申告する必要があります。
税務署から連絡が来た場合の対応
税務署から連絡が来たら、税務署名と担当者名、対象税目、対象年分、調査予定日、準備を求められている資料を確認します。その場で慌てて回答せず、過去の申告書、帳簿、売上明細、銀行口座、領収書、在庫記録を整理しましょう。
税理士に確定申告を依頼している場合は、税務署へ詳しく回答する前に担当税理士へ連絡することをおすすめします。日程調整、事前の資料確認、調査当日の立会いを依頼できる場合があります。

無申告や申告漏れに気付いた場合
申告が必要だった年を無申告のままにしている場合や、売上漏れに気付いた場合は、早めに申告内容を確認することが大切です。税務署から指摘を受けた後に申告すると、本来の税金に加えて無申告加算税、過少申告加算税、延滞税などが課されることがあります。
売上を意図的に除外したり、架空の経費を計上したりして事実を隠していたと判断されると、重加算税の対象になる可能性もあります。税務署から連絡が来る前に自主的に 期限後申告や修正申告を行うことで、加算税の負担が軽くなる場合があります。
まとめ
同人作家やクリエイターであっても、活動方法や事業規模にかかわらず税務調査の対象になる可能性があります。複数サイトの売上、源泉徴収前の報酬額、現金売上、個人口座への入金、家事按分、年末在庫などを日頃から整理し、金額の根拠を説明できる状態にしておくことが重要です。
税理士法人Two onesでは、同人作家、漫画家、イラストレーターなど、クリエイターの方の確定申告や税務調査についてご相談を承っております。「税務署から連絡が来た」「過去の申告内容に不安がある」「売上や経費の整理方法が分からない」といった場合も、お気軽にご相談ください。
参考資料
国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/shotoku_shohi/index.htm
