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クリエイター向け確定申告の注意点|同人活動・イラスト・漫画収入がある方へ

クリエイター向け確定申告の注意点|同人活動・イラスト・漫画収入がある方へ

2026年5月22日

イラスト制作、漫画制作、同人誌販売、グッズ販売、Skeb・pixiv・BOOTH・DLsiteなどを通じた収入がある場合、所得の状況によって確定申告が必要になります。

特に、会社員として働きながら副業で創作活動をしている方や、近年売上が増えてきたクリエイターの方は、入金額だけを見て申告の要否を判断しないことが大切です。販売サイトの手数料、源泉徴収、年末在庫、自宅作業に伴う家事按分など、クリエイター特有の確認事項があるためです。

この記事では、同人作家、イラストレーター、漫画家などの方が確定申告を行う際に注意したいポイントを、税理士が分かりやすく解説します。


1. クリエイター収入は確定申告が必要になることがあります


クリエイター活動による収入には、たとえば次のようなものがあります。

  • イラスト制作料、漫画原稿料

  • 同人誌、画集、グッズの売上

  • 電子書籍、ダウンロード作品の販売収入

  • Skeb、pixiv、BOOTH、DLsiteなどからの入金

  • 出版社、企業、個人から受け取る報酬

  • イベント出展による売上

  • 印税、ロイヤリティ収入

  • サブスクリプションや支援サービスからの収入

税金の計算で基本になるのは、原則として「売上」ではなく、売上などの総収入金額から必要経費を差し引いた「所得」です。

たとえば、年間売上が50万円、必要経費が35万円なら、所得は15万円です。ただし、必要経費にできるのは創作活動との関連性を説明できる支出に限られます。売上から自由に差し引けるわけではありません。


会社員の「20万円基準」は売上ではなく所得


一般的に、勤務先が1か所で年末調整済み、給与収入が2,000万円以下である給与所得者は、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。ここでいう20万円は、収入や入金額ではなく所得で判断します。給与を2か所以上から受け取っている場合などは判定が異なります。

一方、所得が20万円以下でも、医療費控除などを受けるために確定申告をする場合は、その副業所得も申告書に含める必要があります。また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になることがあります。勤務先の年末調整だけで自動的にすべて完了するとは限りません。

専業クリエイターの場合は、所得控除なども含めて申告義務を判定するため、「20万円以下なら申告不要」という基準をそのまま使うことはできません。


   2. 売上は「振り込まれた金額」だけで判断しない


図1 クリエイター収入の売上総額・手数料・源泉徴収・入金額の確認方法
図1 クリエイター収入の売上総額・手数料・源泉徴収・入金額の確認方法

クリエイターの確定申告で特に間違いやすいのが売上の集計です。

販売サイトや出版社から振り込まれた金額は、販売手数料、決済手数料、振込手数料、源泉所得税などが差し引かれた後の金額であることがあります。その入金額だけを売上にすると、本来の売上が少なく計上され、手数料や源泉徴収税額も正しく処理できません。

原則として、次の項目を分けて確認します。

  • 購入者や依頼者に対する販売・報酬の総額

  • 販売サイトや決済会社へ支払った手数料

  • キャンセル、返金、値引き

  • 差し引かれた源泉所得税

  • 実際に銀行口座へ振り込まれた金額

基本的な関係は「売上総額-手数料等-源泉徴収税額=入金額」です。プラットフォームごとの年間売上明細や月次明細を保存し、入金額と照合しましょう。

また、売上は必ずしも入金日に計上するとは限りません。年末までに報酬を受け取っていなくても、仕事が完了して報酬を受け取る権利が確定している場合や、商品を引き渡している場合には、その年の収入になることがあります。12月分が翌年1月に入金されるケースは特に注意が必要です。


   3. 原稿料やイラスト報酬の源泉徴収を確認する


出版社や企業から受け取る原稿料、挿絵料などは、支払時に所得税と復興特別所得税が源泉徴収されることがあります。

源泉徴収されている場合でも、入金額をそのまま売上にするのではなく、原則として源泉徴収前の報酬額を収入として計上します。差し引かれた源泉徴収税額は、確定申告で年間の所得税額と精算します。計算結果によっては、源泉徴収された税金の一部または全部が還付されることもあります。

支払調書が届かない場合でも、報酬の申告が不要になるわけではありません。請求書、支払通知書、メール、契約書、入金明細などから、報酬総額と源泉徴収税額を確認しましょう。


   4. 経費にできるもの・できないものを整理する


クリエイター活動の収入を得るために必要な支出は、必要経費にできる可能性があります。代表例は次のとおりです。

  • 同人誌・画集・グッズの印刷代、製造費

  • イベント参加費、スペース代、搬入・配送費

  • 画材、ペン、インク、用紙

  • ペンタブレット、液晶タブレット、パソコン、モニター

  • 制作ソフト、クラウドストレージの利用料

  • 資料用の書籍、作品制作のための取材費

  • 打ち合わせ費用、取材交通費

  • Webサイト、ポートフォリオの制作・維持費

  • 販売サイト、決済サービスの手数料

  • アシスタント代、デザイン・着色などの外注費

  • 広告宣伝費

判断のポイントは、その支出が創作活動の収入を得るために必要だったことを説明できるかどうかです。私生活上の買い物や、趣味としての支出は経費になりません。

高額なパソコン、液晶タブレット、カメラなどは、購入年に全額を経費にできず、原則として耐用年数に応じて減価償却する場合があります。青色申告者には一定の少額減価償却資産の特例もありますが、適用要件と年間限度額を確認する必要があります。


   5. 自宅作業の家賃・光熱費は「家事按分」がポイント


自宅の一部を作業場所として使っている場合、家賃、電気代、インターネット代などのうち、業務に使用した部分を必要経費にできることがあります。

按分方法としては、次のような基準が考えられます。

  • 作業部屋の面積が自宅全体に占める割合

  • 業務で使用した日数や時間

  • インターネットや機器の使用割合

  • 業務専用スペース、専用回線の有無

重要なのは、「自宅で仕事をしているから半分」などと感覚だけで決めず、図面、作業記録、利用状況などに基づいて説明できる割合にすることです。計算根拠はメモに残しておきましょう。

なお、生計を一にする配偶者や親族へ支払う家賃は、原則として必要経費にならないなど、通常の賃貸とは異なる取扱いがあります。親族所有の住宅を作業場にしている場合は個別の確認が必要です。


   6. 同人誌やグッズの年末在庫を確認する


図2 経費・家事按分・同人誌やグッズの在庫を整理するポイント
図2 経費・家事按分・同人誌やグッズの在庫を整理するポイント

同人誌、画集、アクリルグッズ、缶バッジなどを制作して販売している場合は、12月31日時点で売れ残っている在庫にも注意が必要です。

印刷代や製造費の全額をその年の売上原価にするのではなく、年末に残っている商品に対応する原価は、棚卸資産として翌年以降へ繰り越すことがあります。

たとえば、同じ同人誌を100冊印刷し、年内に60冊を販売して40冊が残っている場合、単純化すれば40冊分の印刷原価は年末在庫として残すイメージです。無償配布、見本誌、廃棄、不良品がある場合は、その数量と理由も記録しておくと整理しやすくなります。

年末には、作品・商品ごとに次の情報を記録しておきましょう。

  • 品名、作品名

  • 制作数・仕入数

  • 販売数、無償配布数、廃棄数

  • 12月31日時点の残数

  • 1個または1冊当たりの原価

在庫金額が大きい場合は所得計算への影響も大きいため、イベント後や販売サイトへの納品時から数量を管理することが大切です。


   7. 事業所得か雑所得かは活動実態で判断する


クリエイター活動による所得は、活動の規模、継続性、営利性、帳簿の作成・保存状況などを踏まえ、事業所得または雑所得として申告します。

「副業だから必ず雑所得」「開業届を出したから自動的に事業所得」と決まるものではありません。国税庁の通達でも、社会通念上、事業といえる程度で行われているかを基本とし、帳簿書類の保存状況などを考慮する考え方が示されています。

事業所得として青色申告を行う場合は、事前に青色申告承認申請書を提出し、複式簿記など一定の要件を満たすことで、青色申告特別控除を受けられる可能性があります。最高65万円の控除には、55万円控除の要件に加えて、e-Taxによる期限内申告または優良な電子帳簿の保存などが必要です。

一方、雑所得には青色申告特別控除や青色申告の純損失の繰越控除はありません。所得区分は税額に影響するため、収入規模が大きくなってきた段階で確認しておくと安心です。


   8. インボイス登録と消費税は慎重に判断する


企業からイラストや漫画制作の依頼を受ける方は、インボイス登録を求められることがあります。

インボイス発行事業者として登録すると、売上規模にかかわらず消費税の課税事業者となり、原則として消費税の申告が必要です。登録しない場合でも取引自体が禁止されるわけではありませんが、取引先の方針や報酬条件に影響する可能性があります。

登録するかどうかは、次の点を踏まえて検討します。

  • 企業との取引割合

  • 一般消費者向け売上とのバランス

  • 今後の売上見込み

  • 経費や設備投資に含まれる消費税

  • 本則課税、簡易課税、経過措置を含む納税額

  • 取引先から登録を求められているか

令和8年度税制改正により、インボイスを機に課税事業者となった個人事業者について、令和9年・令和10年分に一定の「3割特例」が設けられています。適用時期や要件は申告する年によって変わるため、古い情報だけで判断しないようにしましょう。


   9. 電子データを含む帳簿・資料を保存する


申告書の作成後も、売上や経費の根拠資料を保存する必要があります。クリエイターの方は、次の資料を月ごと、販売先ごとに整理しておくと申告がスムーズです。

  • 販売サイトの売上明細、手数料明細

  • 支払通知書、支払調書

  • 契約書、発注書、請求書

  • 銀行口座、決済サービスの明細

  • クレジットカード明細

  • 領収書、レシート

  • 印刷会社・製造会社の請求書

  • イベント参加費、交通費、配送費の明細

  • 在庫表、廃棄記録

  • 源泉徴収税額が分かる資料

メールで受け取った請求書やWebからダウンロードした明細など、電子取引データは電子データのまま保存することが基本です。複数のプラットフォームを利用している場合、申告直前に一年分を集めるのは負担が大きいため、毎月または3か月ごとの整理をおすすめします。


   10. 早めに税理士へ相談した方がよいケース


次のような場合は、申告期限の直前ではなく、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

  • 副業の売上や所得が急に増えた

  • 複数の販売サイトを利用し、売上集計が合わない

  • 出版社や企業から源泉徴収されている

  • 同人誌やグッズの在庫が多い

  • 事業所得と雑所得のどちらか判断できない

  • 青色申告を始めたい

  • インボイス登録をするか迷っている

  • 家賃や光熱費の按分割合に不安がある

  • 海外サイトや外貨での売上がある

  • 過去に申告していない年がある

  • 会社に副業を知られたくない

会社に副業を知られたくない場合も、申告をしないという対応は適切ではありません。住民税の徴収方法などを確認しつつ、勤務先の就業規則も併せて確認しましょう。


   まとめ


クリエイター活動による収入がある場合、確定申告では次の点が重要です。

  • 会社員の20万円基準は、売上ではなく所得で判定する

  • 売上は入金額だけでなく、手数料・返金・源泉徴収前の総額を確認する

  • 原稿料などから引かれた源泉所得税は確定申告で精算する

  • 経費は創作活動との関連性と証拠資料が重要

  • 自宅の家賃や光熱費は合理的な基準で家事按分する

  • 同人誌やグッズの年末在庫を棚卸しする

  • 事業所得か雑所得かは活動実態に応じて判断する

  • インボイス登録は消費税負担と取引先を踏まえて検討する

  • 売上明細、請求書、領収書、在庫表などを保存する

創作活動に集中するためにも、税務処理は早めに整理しておくことが大切です。

税理士法人Two onesでは、イラストレーター、漫画家、同人作家、フリーランスクリエイターの方の確定申告についてもご相談を承っております。

「何が経費になるのか分からない」「売上の集計方法が不安」「副業でも申告が必要なのか知りたい」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。


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